ナマコ漁制限 住民もダメ?
「地元の資源なのに・・・」
県内26漁場の各漁業協同組合にナマコの漁業権が与えられる見通しとなった背景には、ここ数年深刻化しているナマコの乱獲がある。
ナマコの漁業権を求めてきた漁業関係者は今回の県の対応を「乱獲には歯止めがかかる」と歓迎する。
一方、水産業に詳しい識者は、漁業者以外の地元住民がナマコを採ることも制限される恐れもあると指摘。
県は今後、公聴会を開き、関係者の意見を聴取する。
専門家「バランス課題」
ナマコの生態は解明されていない部分が多く、県内漁場での漁獲量や減少量など詳細なデータはないものの、漁業関係者らは「目視でも明らかに激減しているのが分かる」と口をそろえる。
乱獲の背景には、中国での急激な需要の高まりがある。
バイカナマコやクリイロナマコなどは高級食材として高値で取引され、県内ではこれまで注目されていなかったナマコの商品価値が急上昇している。
中国業者の注文を受けた個人や事業者などが大量に採っている実態があり、漁業関係者は「漁民以外は採り放題で、一般と漁民の区別もつかないほどだ」と漏らし、ナマコの漁業権設定で「適正に制限されれば漁民にとってもありがたい」と期待している。
県水産課の担当者は「地元住民が採る分には問題ないが、外部から来て短期間に大量に採っていく実態があり、数が激減している」と危機感を募らす。
一方、すでに漁業権があるシャコガイは、地元住民が昔から食材として使っているため、地元漁協が地元住民による採取を容認している事例がある。
同課の担当者は「激減しているのでむやみに採ることはできないが、漁協も地元社会の一員なので、地元住民の理解を得ながら対応してほしい」と要望する。
沖縄大学法経学部の上田不二男名誉教授(水産学)は「沖縄では海はみんなのものという考えが根付いており、漁業権による規制と地元住民の利用のバランスが課題となる」と指摘。
その上で、ナマコの減少は深刻で資源管理を迅速に進めることの重要性も強調した。