コラム おいしい沖縄

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目からウロコ!仰天のフルーツ天国・その1「島バナナ」

目からウロコ!仰天のフルーツ天国・その1「島バナナ」

ハイタイ!島ナイチャー嫁のイハヨシコです。
いや~最初は本当にビックリしました。何がって?若ダンナの実家の庭。(主人は私より11歳若い、いわゆる"年の差婚"。だから"若ダンナ"。)
その若ダンナに「あの木何?」と聞くと「あれはバナナ」。「あれは?」「パパイヤ」。「あれは?」「ドラゴンフルーツ」......。え~!?ここはフルーツ天国?幼い時から果物に目がなく、3度の食事より果物という"果物ジョーグゥー"の私(「ジョーグゥー」=「~好き」という意味のウチナーグチ。酒好きな人の「上戸」からきているらしい)。そんな果物が何よりのヌチグスイ(命薬)という私には、まさに笑いが止まらない庭なのです。
これは他の家も然り。沖縄の庭は、観賞というより完食できる果樹園です。(ちょっと言い過ぎですが、実際フルーツ泥棒も多いらしい。ヒドイね!)
そして嫁いで初めての夏のある日、私の果物人生が一変する出来事がありました。それは、義父が庭先から収穫してきた島バナナとの出会い。ちょっと小ぶりなバナナに私は「モンキーバナナですか?」と聞くと「これは島・バ・ナ・ナ!」と「島バナナを知らないのか?」と言いたげな義父(義父はとても真面目で実直、沖縄を心底愛している人なのです。
島草履、島酒(泡盛)、島唐辛子、島らっきょう、島にんにく......とにかく「島」が付く物が大好き!ちなみにウチナーンチュは沖縄のことを「島」と呼びます)。
その義父の手には、真っ黒で皮が裂けた小さなバナナが一本。「スウィートスポットどころじゃない、もう完全に傷んでいるじゃない!」と心の中でブツブツ言いながら恐る恐る皮を剥くと、薄い皮の中にはしっかりとしたクリーム色の美味しそうな果肉。そしてひと口食べると、
「え~、これがバナナ!?」
口中いっぱいに甘みとともに爽やかな酸味が広がって、普通の輸入物のバナナのような甘ったるさや芋っぽいホクホク感もない。果肉がギューッとつまって濃密濃厚、それでいて酸味に気品があって超フルーティー。(フルーツだからフルーティーに決まっている。けどバナナでそう感じたことは今まで一度もなかった。)
それ以来、島バナナの虜になってしまった私。しかし購入しようと思っても「サンエー」や「かねひで」、「ユニオン」「ジャスコ」などのスーパーではあまり見かけません(最初の三つは地元沖縄の有名スーパーマーケット)。で、発見したのは空港と産直市場。ただしキロ1,000~1,700円と高価!でも国産で安心、それにこんなに美味しいならもっと話題になってもいいはずなのに、何故メジャーじゃないのだろう?
それは栽培と流通、どちらにも難しい課題が幾つかあるのが理由だそうです。以前食育や地産地消の仕事で島バナナ農家さんと会ってわかったことですが、島バナナはもともと収穫量が少ない上、成長すると背丈が2.5~3.5mにまでなるためちょうど収穫最盛期の夏、沖縄に襲ってくる台風の被害に合いやすく収穫が不安定ということ。また萎ちょう病という枯死に至る病にかかりやすくデリケート。すなわちリスクが大きいから専業農家が少ないのだという。
そして義父の手のひらにあったあの黒くて皮が裂けた状態が熟してちょうど食べ頃。だから房からもはずれやすい。(義母からは黄色い内に果肉が露出しないように房の元からハサミで一本一本切って外し寝かせて追熟させるといいと教えてもらいました。裂けてくるとコバエが近寄るのでキッチンペーパーを上にかけたり、蝿帳に入れておくとベスト。
ということで、島バナナの時は長年愛用のマイバナナハンガーの出番はありません。)さて、こんな希少な島バナナ、旬は夏~秋、値段は少々高いですが、もしもどこかで見かけたらぜひ買って食べてみてください。きっと感動すると思いますよ。
でも間違っても他人の家の庭からちょっと...なんてことはしないように。
さて最後に島バナナで一番ビックリしたことをお話しますね。
私も最初聞いて「ウソでしょ?」と思いましたが、実は島バナナはウチナーンチュ(沖縄の人)=沖縄在来種ではないそうです。
「沖縄のバナナ」という意味の名前でありながら、1888年に小笠原から入ってきた小笠原種という品種(その小笠原種も元をたどればマレー原産だとか)。そう!私と同じ東京都出身の"島ナイチャー・フルーツ"。でもここまで生粋のウチナーンチュのように県民に愛され続け、珍重される島バナナは、"島ナイチャーの星"として尊敬しちゃいます。私も少しでも島バナナに近づけるよう、島ナイチャー嫁、これからも頑張ります!

イハヨシコ

2012/05/28